案内板
「 謡曲『巴』と巴淵
謡曲『巴』は修羅物の中でも女性を主人公とした唯一の作品です。木曽の僧が滋賀の粟津原に来ると、一人の里女が社の前で泣いている。事情を聞くと『木曽義仲 が討ち死にした場所で、弔って欲しい』という。僧が読経していると、先ほどの女が武装して現れ、『自分は巴という女武者。義仲の供をして自害しようとしたが、女だからと許されなかった』とかたる。巴の霊はその無念さと義仲への恋慕から、成仏できずにいたのだった。
巴は少女時代、この巴淵で泳ぎ、近くの徳音寺にある乗馬像のように、野山を駆け巡って育った。淵をのぞき込んでいると、そうした巴の姿が彷彿と浮かんでくるようです。
謡曲史跡保存会 」