1118
海岸を流鏑馬の駆ける初冬や
コート着て祭り本部のアナウンサー
地平線まだやや赤く冬の月
1117
ステージのトリを務めて初冬や
舞台化粧落とし初冬の街に出る
1116
帰路電車窓いっぱいのすすきの穂
1115
深窓の白菊戸外に乗り出して
赤べべの子鳩怖がりて七五三
1114
新月にゴスペル歌ふ初冬や
師に贈る冬ベゴニアの想ひ出や
1113
登校の待ち合はせの子ら冬の朝
1112
白壁に紅き葉をつけ這ふアイビー
ツワブキの花に幾年去来する
小春日の海白き帆の往来す
小春日やウィンドサーファー帆を畳む
足長の影と歩きて小春日や
1111
秋の日のチャペルを染める華燭の宴
1110
東大の銀杏少し匂ひ初め
1109
初冬の夕焼け見つつ紗幕閉づ
初冬の陽をサンルームに閉じ込めて
1108
抜糸後をマスクで隠す初冬かな
欄干に大根を干す温泉郷
1107
朝の日の雲の暈着て冬立つ日
立冬や洗濯物をずらり干す
立冬や大手術となり親知らず
1106
秋深し社の銅屋根葺き替へる
社の屋根葺き替へる銅光る秋
1105
早朝の出勤そろそろコート欲し
仕事から帰る焼き芋お土産に
焼き芋のお返し種なし柿貰ひ
柿洗ひ丸かじりの実に種はなし
1104
管弦楽全国大会秋深し
コンクール終へ生徒らの秋深し
日常を過ごすテレビは山紅葉
イベントの稽古三昧秋深し
1103
楽器持つコンテストの子ら文化の日
秋のサラダ買って今宵の宿へ行く
1102
仕事疲れ背負ひて帰る秋深し
古都で皆降り車内空く秋深し
秋の味の幕の内買ひお土産に
週末の秋の夜ホルモン焼いてをり
1101
早朝の出勤そろそろ冷え始め
秋深し夕暮れの空しみじみと
1031
やや急ぐ気持ちにえのころ草揺れる
すっと立つ秋明菊の気高さや
薄の穂揺れて線路の岐れ行く
魔女になるアメリカの少女ハロウィン
何もせぬ南瓜嫌ひのハロウィン
1030
洗濯しアイロンかけて秋日差し
たっぷりの無花果タルトにかぶりつく
望月の古へのまま空にあり
事故の夜も望月は閑か空にあり
1029
秋晴れや鎌倉駅で皆降りる
仕事終え晴れ晴れ見上ぐ秋の空
仕事終え秋明菊に会ひに行く
コスモスを門に可愛くしつらへて
茜雲対峙してをり小望月
1028
ゴスペルの響くスタジオ秋深し
先々で南瓜が笑ふハロウィン
芝居跳ね土砂降りの街秋寒し
1027
ドラキュラの服着た子どもハロウィン
蟋蟀の代はる代はるに鳴く線路
1026
四方から雲にかしづかれ昼の月
昼の月真ん中にして雲生まる
四方から雲寄せてくる昼の月
ざっくりとトングで南瓜サラダ盛る
1025
遮断機の降りて秋の風寒し
居酒屋へ誘はれ迷ふ秋深し
芋に菊肴に一献傾けて
1024
新開店並んで買ひて秋深し
レジ並ぶ翁は柿を四つ買ふ
1023
上弦の月低くをり秋寒し
我一人蟋蟀鳴くを聞いてをり
建物の狭間に一人鳴く虫や
裏道の車やり過ごし秋寒し
秋寒し今宵は星も美しき
1022
転職し秋のサラダを売ってをり
まだ慣れぬ仕事帰りや秋深し
出勤の道凛と咲く秋明菊
秋晴れや仕事を終へて清々し
リーリーと虫踏ん張って風強し
1021
衣装着てステージで踊る秋祭り
焼きそばを食べるベンチの百日草
屋台村賑わふ声や秋祭り
舞台袖出番待つ顔秋祭り
1020
虫の音でその駅と知る停車駅
まだ落ちぬ銀杏少し匂ひけり
メトロ降り金木犀の街に出る
乙女らの声華やぎて秋深し
山積みの種無し柿やレジの前
ほろ酔いに夜風優しき秋深し
1019
今朝もまた金木犀を追ひかけて
物干しも楽しみとなり金木犀
歩道橋金木犀と昇り降り
夜走る人金木犀撒いて行く
おばけ顔かぼちゃのパイをひとかじり
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