紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

一日一句 6

 

2010年

 

10/11
連休も終わる最後まで鯊を釣る

洋館の夕暮れ芋を煮る匂ひ

塀のあちとこちで虫の声違ひ

上がり作業する店の角鈴虫や

雲多く少しの夕焼け秋深し

その庭に鈴虫多し足止めて

先々で鈴虫謳さらに謳歌して

体育の日やジョギングの人多し

進む度虫の音高く谷戸の道


10/12
おしゃべりの合間鈴虫の存在感

お喋りの合間鈴虫ここにあり

寝静まり遠き電車と虫の声

役所前お年寄り集ふ秋深し

その秋が最後の薫り金木犀

いつも見るハロウィン飾りの家通り

栗茶巾母にと買ひて相伴す

上生の名前もゆかし栗ひろひ

店先の栗電灯に鈍光り

ヘリコプター探し見上げる秋の雲

穏やかな秋の午後なり早帰り

あの雲を掴んでみたき秋の午後

腹白く見せて鯉の死秋の川

炭酸水掲示見てをり秋の午後

人が見てたもの気になり秋の午後

手のペットボトル持て余し秋の午後

小さき子ら道の端ゆく秋の午後

花少なく香りは甘く秋のバラ

秋バラの花密やかに香は甘く

京いもと葡萄が並ぶ露地の店

鈴虫を静かに聞きて縫ひ物す

母と話す内秋の日はとっぷり

はや沈む秋の日を母と話題にす

秋の日はとっぷり母と話しをり

母が煮た南瓜ほっくり温かき

母の煮た南瓜ほくほくほっくりと

長き影追ひ越せば小柄秋の夜

近づきて抜かしゆく影秋の夜

外に出れば一面虫に包まれて

改札で待つ遠巻きに虫の声


10/13
母の機嫌そこね重き秋の雲

忙しくまた夜が来て虫を聴く

秋の陽の赤し核実験ありて

縫い物の今日も終わらず虫すだく

長鳴きの鈴虫今日も過ぎゆけり

10/14
踏切を走って渡り秋暑し

両腕の荷物重たし秋日傘

スーパーの入口カボチャが口開けて

ビラ配る人避け歩く秋の午後

新サンマのお造り首を持ち上げて

新サンマ淡き輝きつまの上


10/15
二年ぶり咲きて安堵やホトトギス

秋日傘の人追ひ越して先急ぐ

裁縫も一段落し秋暑し

数日の作業を終えて天高し

杖の人さくさく速し秋日和

久しぶりに電車に乗りたり秋暑し

小鳥沢山運んでいる人秋暑し

小鳥の声の荷物が通り秋の午後

秋桜の道をたどりてスパへ行く

窓開けて湯から秋の 空を見る

露天風呂一息入れて天高し

露天風呂手足伸ばして天高し

物想ふ秋の人々露天風呂

それぞれに物想ふ秋露天風呂

天井のプロペラ眺め秋昼寝

整体師の手ひんやりと秋深し

整体の心地よく秋の声遠し

歩道橋下から虫の音沸き上がる

乗り換えの駅虫の音に囲まれて

芝居小屋出れば金木犀の闇

秋の夜料理屋の灯に誘われて
 
一見の鶏料理屋ゆかし秋の夜

 

 

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一日一句 目次 2
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