紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

一日一句 39

 

2011年

9/18
劇場を出れば鈴虫鳴く丘に

幼子が弟の手握る秋の夜

虫の音の大音量なり我が町よ

9/17
秋の蝉聞きつつ踊るまだ踊る

9/16
発車音ずれて歪んで秋暑し

9/15
つく法師遠く虫の音沸き上がり

友上梓せし本届き秋暑し

9/14
彼岸まで残暑続くかと立ち話

鳥宿る木に鳥帰る秋の夕

9/13
秋は夕暮れ富士の影凛と立つ

今宵十六夜露天風呂から探し見る

富士の影凛と立つ秋の夕暮れ

温泉を出でて十六夜望む窓

9/12
夕刻を待ちて出る厳しき残暑

節電の解除宣言秋暑し

乗客のさざめくデジャヴ秋暑し

日差し強し空見れば秋らしき蒼

中空でひとり輝く名月や

名月や中空ひとり輝けり

名月や初めての店で酒を飲む

名月やどこで飲もうか相談し

9/11
震災後半年の秋また余震

虫の声遠くなりゆき街に出る

新しき眼鏡作りて秋暑し

待ち時間月見バーガー賞味する

ほろ酔ひの耳に虫の音心地よき

9/10
余震来て窓を開ければ秋の蝉

本番を終はりて基礎練秋暑し

芝居跳ね友と語らふ秋の夜

9/9
重陽や久々の友と今宵会ふ

洗濯の乾くを待ちて秋の蝉

秋の旅帰りて土産を配りをり

9/8
コスモスの揺れる線路や旅終はる

コスモスに送られ旅から帰る路

久々に娘らと飲む秋の夜

9/7
嵐過ぎ青空の朝虫も鳴く(草ひばり)

木漏れ日の静かなる道秋の朝

山頂にとんぼうの群れ空澄めり

黄揚羽もとんぼうもをり山澄めり

バッタ跳び道案内する下山道

山頂の鐘鳴らす音秋澄めり

ゲレンデの秋は草花踏むルート

下山道ふと秋の蝶飛びたてり

単線の線路横ぎりて秋のバス

下山してバスにてみかんの皮を剥く

みかん剥く車内に香り広がりて

ついと来て岩に止まりて鬼ヤンマ

鬼ヤンマ岩に止まりて露天風呂

秋の午後ゆったり一人露天風呂

鬼ヤンマ二匹交差し岩に降る

交差して岩に止まりて鬼ヤンマ

9/6
初秋や木々から滝の現れて

大露天の風呂日陰が人気あり

瞑想をする人秋の露天風呂

秋の蝉と川音を聞く露天風呂

鬼ヤンマついと横切る露天風呂

秋の空逆さに映す露天風呂

落ちる葉に足をとられて露天風呂

9/5
コスモスにへばりつきたる小さき蝶

9/4
秋雨や機関車煙を吐きながら

秋祭り御輿過ぎれば遊技場

秋の川急流下りの歓声や

山岳資料館出て秋の温泉街

秋の温泉街抜けて庚申塔

秋祭り御輿の揉みや温泉街

9/3
台風やテレビ見にくき山の宿

台風や一日宿で過ごしけり

9/2
下校児童団扇片手に列となり

台風の接近電車の速度落ち

台風の雲の早さや山迫る

初秋の温泉浴室我ひとり

もてなしの一品栗と烏賊和えて

デザートに巨峰ガラスに盛られをり

9/1
明けて九月ひとりメリーゴーランドに乗る

防災の日かなり今年は大がかり

雨上がり虫の音ここぞと主張する

片弦の取れた眼鏡や九月かな

8/31
打ち上げの帰り夜でも蝉は鳴く

8/30
公演の初日汗で溺れそう

公演の差し入れミニひまわり多く

8/29
小屋入りの夜新さんまで晩酌し

小屋入りの裏方仕事や玉の汗

8/28
蝉の声遠くに聞こえ稽古かな

棒付きの冷やしパインを食ふ親子

本番前最後の稽古や夏も逝き

8/27
夏の夕ドリアン前で待ち合わせ

ビアガーデン前を素通り休肝

8/26
副都心冷房の地下でランチする

邪魔ではあるが手放せぬ日傘かな

邪魔とても手放しはせぬ日傘かな

夕立や大画面残し街暗し

大画面残し夕立の街暗し

屋根付きのホームで傘さす雷雨かな

8/25
踊る人観る人冷房上げ下げし

8/24
ひたすらに揚羽の木々を渡り行く

揚羽蝶ひたすら木々を渡り行く

警察署緑のカーテン伸びていく

夏生まれ免許更新いつも夏

節電はいずこ警察署の冷房

冷房の効きすぎてをり警察署

干し物の濡れて一瞬の夕立

8/23
海辺客減りて夏の終わり知る

夏の薬湯ミントは今日は寒々し

夕刻の暮れ行く早さ晩夏かな


数日の冷夏楽しみまた猛暑

窓開けて蝉の声爽やかな朝

降る声を縫ひて初鳴きつく法師

やるべきをやらねばならず残暑かな

朝昼の気温差激しき残暑かな

つく法師鳴き始めたり気は急きて

国道の車の音消す杜の蝉

8/22
よく眠りまた昼寝する小秋かな

八月の秋雨前線毛布出す

新さんま刺身に炭火と堪能し

評判に違はぬ美味さ新さんま

8/21
また暑くなるらし一瞬冷夏かな

前線で三日天下の冷夏かな

また暑くなるらし今夜はよく寝よう

8/20
浴衣の娘ホテルのロビーでチェックイン

がんばろう日本夏甲子園閉幕す

夏恒例二十四時間テレビ見る

がんばろう日本夏のチャリティや

何も出来ぬ無力の夏や募金する

私には何が出来るか思ふ夏

今日汗で濡れた物らを洗濯す

被災地に何が出来るか思ふ夏

8/19
大雨に残暑一旦おさまりぬ

今日の雨小秋前線連れて来ぬ

桃剥きてまだ少女の如固かりし

残暑の日先を睨みて服を買ふ

暗闇に蝉の声せず雨の夜

皿に載るトマト甘くて完熟で

 

 

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一日一句 目次 1
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一日一句 目次 2
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