9/17
秋団扇休まずパソコン打ってをり
秋風や慣れぬパソコン打ってをり
秋風や太鼓演奏聞く帰り
もんじゃ焼く娘の頼もしく秋の夜
帰宅して灯り点けずに虫を聞く
また来年約束しつつ夏は逝く
9/16
秋暑し虹橋渡るゆりかもめ
秋暑し足湯の長き石の道
湯疲れや帰り電車に西陽射す
9/15
駅前の待ち合はせの群れ秋日傘
ギャラリーの床の間彩る千草かな
ギャラリーを出て雨の匂ひ秋日傘
9/14
母の掃く箒の音や秋の朝
晴れ曇り日と雲の興亡秋暑し
巨大梨割り秋の訪れ味わいて
秋穴子焼かれて胡瓜の上に載り
秋トマト二重にこんもり盛られけり
9/13
邯鄲や奥には暗き社あり
つく法師西陽にデジャブ月日逝く
夕焼けの下で蟋蟀鳴き出す
とっぷりと暮れて虫の音沸き出す
9/12
こぼれ葛ありて頭上に花探す
蝉の声さへ涼しげな秋の朝
秋風を迎へて今日も始まりぬ
登校の子らのざわめき秋の蝉
お嬢様高校の下校秋日傘
準備する路地の酒場に西陽射す
9/11
探し物探しあぐねて秋暑し
今年また世界が祈る日秋暑し
今年また世界が祈る日九一一
9/10
列車遅延の車内放送秋暑し
秋晴れや白く微笑む観音像
種重く秋の向日葵うなだれる
旅終へていつもの暮らし虫の声
9/9
目覚ましを止めてたゆたふつく法師
秋暑し土佐の土産を分配す
秋暑し腐った野菜始末する
約束をちょっと後悔秋日傘
瑠璃蝶をずっと目で追ふ路地の垣
重陽や思はぬ愛しき友と遇ふ
秋日傘足首か細き乙女なり
9/8
山行けば霧の生まれる白き谷
山霧や遠近の樹の濃き薄き
土佐の山霧のカルスト牛歩む
カルストの霧にぬぼっと風車立つ
カルストの霧にひっそり秋薊
上流に鮎釣る秋の四万十や
四万十の源流の里百合が咲く
源流へ向かふ畑に長き茄子
四万十の源流二度目の稲実る
二期作の稲の実リアルな案山子立つ
源流へ向かふ谷間に烏瓜
四万十の源流訪ね百合の道
初秋や源流点の不入山(いらずやま)
源流や巷の残暑を忘れけり
源流の里やコスモス笑ひかけ
源流の里や手を振る秋の子ら
源流の里後にして秋桜
源流の里や紅白萩満開
初秋や田舎ちらしの甘き味
土佐空港土佐の秋鯖賞味する
雄大な秋の夕暮れ土佐空港
9/7
秋晴れや気持ち新たにバスが出る
屋形船の窓を訪ふ赤トンボ
四万十の船に降り来る秋の蝉
四万十の川面を行き来する蜻蛉
四万十や声を限りの秋の蝉
屋形船降り口で出迎へ銀ヤンマ
赤黄色カンナ並びてツンと立ち
藁で焼く戻り鰹や潮の味
雲の上棚田見下ろす秋アカネ
右左バスを見下ろす秋の百合
カーブ毎百日紅咲く山の道
9/6
豪快に戻り鰹や土佐の市
山里や福禄寿の毎赤カンナ
とんぼうの群れて里山暮れゆきぬ
秋の日の落ち四万十川海に入る
日も暮れて秋風の吹く屋形船
夕凪の四万十川や秋めきて
とっぷりと暮れて初秋の屋形船
秋の夜や網白く光る火振り漁
9/5
秋風を窓から入れてペンを執る
つく法師急かされる思ひ昼下がり
つく法師書き損じ葉書二枚あり
妖艶な香に誘われて桃を割る
つく法師ひとしきり鳴くを聞いてをり
テレビでは急転の音秋の午後
切れ切れに相談の声つく法師
夕暮れのねっとりを裂くつく法師
9/4
途中下車して残暑の街踏み出す
日も落ちてすぐ虫の声湧き出づる
秋茄子の艶やかなるを買ひて来る
買ひ物の荷は秋物に一新し
秋物の野菜魚を買ふて来る
夏物の一掃の隣秋の服
次々と摘まみ葡萄の芯残りけり
9/3
雨の予報結局降らず秋の雲
みんみんや最後の独唱朗々と
9/2
遠雷や水しぶき上げ電車来る
遠雷や雨音のまた強くなり
遠雷や水溜まり避け駅歩く
遠雷やホームに降り込む雨を避け
残暑避けミラーボールの回る地下
残暑の夜怖い話に笑ふ落ち
9/1
夕立やカフェ満員の土曜午後
夕立や世を驚かせ雲切れる
夕立や褒められもせず気働き
夕立や褒めてももらへぬ気働き
8/31
ラジオ体操今日までの子ら夏が逝く
眠られぬ一夜逡巡つく法師
猛暑暮れにわかに虫の鳴き初めぬ
八月の晦日俄に虫鳴きぬ
八月も暮れて闇夜に秋の声
8/30
寝苦しき深夜音無き闇に居る
網戸越しとんぼうの飛ぶ朝の窓
とんぼうのすれすれに飛ぶ朝の窓
残暑の陽射し忍び寄る朝の窓
赤い背の痛々しさや夏のスパ
夏らしき夏日と皆言ふレッスン日
8/29
洗濯を干す首に巻く冷えクロス
翻るカーテンと格闘残暑かな
ふっくらと箱に六個の桃笑ひ
8/28
久々の熟睡から覚めつく法師
歯医者への道重き足風は秋
歯医者への足取り重し秋の風
駅毎に鳴くつく法師眠き午後
8/27
逝く夏やミニ収蔵展に深みあり
夏野菜とチキンで迷ふ老舗カレー
ランチカレー食べる窓辺を日傘行く
8/26
夏恒例24時間釘付けに
チャリティのTシャツ選ぶ晩夏かな
公演の清算終へて夏逝きぬ
リハビリの進まぬ腕も日焼けして
気に入りのパン屋閉まりて夏休み
チャリティの晩夏涙と鼻垂れる
8/25
右の空から左の空から蝉しぐれ
8/24
出立の荷を作る窓蝉しぐれ
復興の工事に負けじと蝉しぐれ
福島や入道雲に囲われる
一列に向日葵東を向いてをり
帰り道日傘とじながら主婦二人
ホームに立つ人居所なき西日かな
来る人も見えずくらくら西日かな
容赦なき西日に居所なく歩く
この西日収まるまでに餉を作る
西日受けうんざりする人運ぶバス
8/23
冷房の暗闇話題の映画観る
団体の子等映画観る夏休み
骨折れて旅先で日傘求めけり
炎帝と放射能避け遊戯場
8/22
飯坂の旧邸に飛ぶ赤蜻蛉
飯坂の猛暑を癒す足湯かな
旧邸の芝生の庭園蜻蛉飛ぶ
飯坂は負けないと幟槿咲く
放射能風評被害や向日葵咲く
向日葵や風評被害に負けぬ街
離れてはまたその花に来る秋蝶
八方に出て凌霄花見栄を切る
無花果のこっそり赤くなり始め
炎暑の庭楓葉先が赤くなり
二年目の夏まだ震災の影響が
旅先の散歩疲れや大昼寝
8/21
つく法師聞きつつ朝の仕度する
昨年の夏帽子少しひしゃげをり
つく法師逝く瑠璃の衣玻璃の羽根
年寄に日影を譲る帰り道
駅前で待つ人日影に群がりて
頼まれて買ふアイスの籠レジを待つ
飯坂や芭蕉に逢ひし夏の旅
8/20
不思議な夢目覚めて朝の蝉しぐれ
投函に猛暑の中へいざ行かん
午後の風かき氷の幟揺れ
コンビニの冷え外に出れば酷暑かな
自転車の炎暑の空気掻きて漕ぐ
一日一句 50へ
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一日一句 目次 1
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一日一句 目次 2
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