紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

一日一句 73

 

2014年9月

9/1
初秋の田に祖父を呼ぶ孫の声

初秋や熊鈴鳴らす下校の子

サルビアや荷物転がし迷ひ行く

9/2
山里にとろろ葵のつんと立つ

初秋やランチはりんごの香り満ち

山里の露天風呂にも秋の風

初秋や公共の湯をひとりじめ

キラキラと羽震わせてアキアカネ

9/3
深々と見送る女将秋の朝

9/4.
母が食む葡萄を絵にも描いてみる

園児らのかけ声高く運動会

9/5
人生の千秋楽や秋の風

風強く結局は閉じる秋日傘

9/6
秋暑しダンス本番待つ楽屋

戻り来るダンサー扇ぐ秋団扇

9/7
秋雨やルバーブドーナツ酸い甘い

金木犀ほのかに香る露天風呂

9/8
お豆腐も温泉に浸かる秋の朝

サルビアが赤煉瓦に映える製糸場

名月を心に描く雨の空

9/9
秋雨や濡れても天のファンファーレ

十六夜ややはり大きなスーパームーン

9/10
石畳上りて茶屋に秋の風

地蔵尊手を合はせる娘につく法師

渡る先つく法師鳴く蓬莱橋

人生を変へる橋とや秋の風

9/11
秋風やまたテロ忌巡り来る合唱

急に風秋めき帰りに服を買ふ

9/12
驚きて蛇を飛び越す秋日傘

無人売り帰りは秋茄子売り切れで

白萩のこぼれる道を訪ね行く

9/13
銀杏を転がして行く永田町

今日ひとつ断念をする秋の風

9/14
ギコギコと自転車過ぎて秋日差し

幻想の町に迷ひ込む秋の夕

9/15
敬老の日や席代はる人を見る

鈴虫を聞きつつカフェの梯子する

9/16
林檎パイ帰省土産の美味き味

戸出でれば金木犀に包まれて

9/17
ドラえもんに会ふ秋涙が止まらない

信号を待つ間見上げる秋の空

9/18
誕生日無花果タルトを選ぶ母

虫の音や薄闇に揺れる仔犬の尾

9/19
我が影を踏みつつ下る秋の山

きしきしとドングリを踏む急階段

三浦家の菩提寺低くトンボ飛ぶ

9/20
墓参する娘に小雨降る秋彼岸

秋雨や遠くの町で邂逅す

9/21
チャペルから讃美歌響く蔦紅葉

秋風やカメラ構へて都電待つ

9/22
幾つもの街を訪ねて秋深し

惣菜もおはぎも並ぶ夕セール

9/23
乗り合はす人花を持つ秋彼岸

秋の夕茜のますます深くなり

9/24
煉瓦塀秋の揚羽の羽ばたけり

初物のみかんをいただきランチかな

9/25
老母には秋の冷房強すぎて

憂ひ事ありて虫の音響きけり

9/26
きゅっきゅっと幼児のサンダル秋日差し

金木犀胸一杯に物を干す

9/27
紅葉の木曽の御嶽噴火する

9/28
銭洗ふ泉に金木犀香る

町中に金木犀の香る古都

萩の花分け入り山門へと上る

化粧坂上れば秋晴れ源氏山

9/29
炙り寿司脂ののった秋刀魚かな

どこへでも金木犀の香付いてくる

9/30
一日を振り返りつつ秋の空

謎解きはディナーの後で秋深し

金木犀まだ何事もなさぬまま


一日一句74に続く

https://asiandream0804.hatenablog.com/entry/2023/02/15/193652


一日一句 目次 1
https://asiandream0804.hatenablog.com/entry/2023/02/07/092704

一日一句 目次 2
https://asiandream0804.hatenablog.com/entry/2023/02/10/125624

 

一日一句 目次の目次
https://asiandream0804.hatenablog.com/entry/2023/05/29/195328