紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

一日一句5

10/6
兄帰りまた寂しくなり秋の午後

母が探す矢筈見つけて秋深し

遠い日の記憶金木犀ふわり

いい話聞きてほうわり秋深し

母買ひし秋服秋の色優し

カーテンに透ける夕日や秋深し

布を裁つ作業に遠き秋の声

裁縫は苦手金木犀やさし

パン焼ける匂ひ懐かし秋の夕

生きる限りいろいろありて秋の夕

秋の陽の納まればはや虫の声

畳み掛けさらに重なり虫の声

虫の声夜毎に違ふ音色なり

きしむ音も澄みわたる音も虫の庭

秋深し母と想ひ出語る夜

我は縫ひ母は機織り秋深し

機を織る母と語らひ秋の夜

間引き菜を挟み親子の会話かな

ひとすじの涙や祖父を想ふ秋

彼の秋の祖父の一筋の涙かな

死の床の祖父一筋の涙かな

祖父の目の一筋の涙逝く秋や

祖父つうと流す涙や過去の秋

祖父つうと涙流して逝きし秋

祖父涙一筋遺し逝きし秋

祖父つうと涙流して秋に逝く

一筋の涙遺して祖父逝きし秋

逝く秋に祖父一筋の涙遺し

涙一筋遺し彼の秋祖父逝きぬ

彼の秋や祖父一筋の涙を遺し

彼の秋や涙一筋祖父遺し

彼の秋や祖父一筋涙遺し

逝く秋に祖父の遺したあの涙


10/7
よれよれと飛ぶ十月の蚊の痛し

秋の蚊のよれよれ飛べど逃げ速し

秋の蚊も必死なるらん腕痒し

ミシン踏む合間虫の音聞きながら


10/8
バス混みて立ちて見る車窓秋うらら

探す本なく店を出て鰯雲

店先に置かれいがぐりの存在感

散り落ちる金木犀のまだ薫り

曲がり角いつも金木犀のあり

どこやらの犬声寂し秋の暮れ

今日もまたと母のため息秋の夕

虫の声の向こうに遠き犬の声

犬の声隠して高く虫の声

遠き音すべてを隠し虫の声

難問は今日は解けずや虫の声

窓閉めてまだ虫の声リンシャンと

10/9
秋雨や新幹線が追ひ越してゆく

乗り換えの放送ありて秋の雨

秋の雨狸の尻尾を揺らす娘や

地下道に吹き来る風や金木犀

地下へ降りまだ金木犀付いてくる

角曲がる度香の強くなり金木犀

鈴鳴らし金木犀の道ゆく子

お稽古を早引け金木犀の道

いつもより下町の風情秋の雨

秋雨やクレーンの上枝を切る

秋野菜イタリアンランチの店に寄る

イタリアンランチでたっぷり秋野菜

秋野菜イタリアン料理に変わりたり

イタリアン料理でたっぷり秋野菜

秋野菜今日はイタリアンに料理され

秋連休蹴っ飛ばしたい大鞄

秋雨を避けて黒塀横丁へ

紅葉のポスターが呼ぶ山の街

すれ違ふ妖艶な闇金木犀

道さらに細くて暗く金木犀

雨の闇足元危うく金木犀

雨強くなり金木犀また香る

10/10
青苔の石塀古りたり秋の午後

行き来する人みな優し秋の午後

何やらの実が揺れてをり秋の雨

秋の午後メイク講座で男前

降り立てば空から鈴虫降るような

家々の灯り懐かし秋の夜