紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

一日一句4

10/1
懐かしき声に目覚めぬ草ひばり

夢半ばでも次もあり草ひばり

邯鄲や夢はまだまだ諦めず

邯鄲や夢はいつでもその先に

邯鄲や夢半ばなり諦めず

天高し雲に向かって上る道

船を打つ波音優し秋深し

想ひ出にいざなはれゆく草ひばり

赤い羽静かに募るご老人


10/2
秋日差し美容院の待ち時間

大南瓜色鮮やかに美容院

娘の髪の結ひ上がりたり秋うらら

三ポーズ撮る晴れ姿秋の次女

晴れ姿ポーズとる娘や秋深し

末の娘の二十歳の着物秋の声

末娘二十歳や秋の写真館

秋の街娘二十歳の笑顔かな

黄昏て今金木犀の香り初む

帰宅してまた出掛ける夜虫の声

鳴き出しは二匹高くて虫しぐれ

鳴き競ふ二匹合図に虫しぐれ

外に出れば鈴虫二匹競ひをり

金木犀性悪説を振り払ふ

性悪説事件の重さ秋の風

秋刀魚焼く匂いや我が家も近し

おしゃべりをやめ金木犀振り返る

この闇に金木犀を探し見る

振り返りまた闇探す金木犀

ひとつ角曲がれば虫の鳴く世界


10/3
振り返り子追ふまなざし秋深し

杖の人エスコートする娘秋深し

松茸のむすびを買ひて歩も軽く

この階段上れば秋の街へ出る

寒暖も少しは我慢秋ファッション

地下鉄を出て秋の街日やわらか

みっちりと稽古疲れや秋の夜

向かひ風金木犀の中を行く

駅降りて鈴虫の中へ歩みゆく

歩むほど鈴虫の声深くなり

秋の夜狸囃子を聞いたといふ


10/4
小窓より金木犀の香る朝

雨降りて金木犀の香のいよよ

金木犀ないものねだりがほのかなり

金木犀幼き頃を想ひをり

秋の窓子らの喧嘩のいとほしき

睡魔に襲われつつあり秋の午後

鈴虫や暫し手を止め聞き入れり

虫の音を聴く静けさや我が庵

聞き分けること難しき虫繚乱

千匹の虫鳴きたるも静かなり

話しつつ別れて金木犀の道

ゆけどゆけど追ひかけてくる金木犀


10/5
金木犀で目覚める今日の幸せ

香で目覚め今日の幸せ金木犀

この香りあなたに届け金木犀
世にも奇妙な物語「栞の恋」から)

この香君に届きますように金木犀

歩きても止まりてもなほ金木犀

角曲がるたび新たなり金木犀

茜雲消えて虫の音甦る

茜雲我に戻りて金木犀

茜雲広がりてをり街は秋

どこまでも行きたき秋や茜雲

母と兄と共に無花果食むひと日

無花果やその色その味懐かしき

虫時雨の夜あり独唱の夜あり