2010年
9/26
この橋で今も昔も鯊釣る子
曇る日は川面も曇る秋の午後
荷を開けて松茸の香の薫る朝
白萩のこぼれて残る花静か
すぐそこに鳴くこおろぎの姿見ず
弁当の摘み菜炒め香り良し
傘持ちて使わず帰る秋曇り
こだまする夕べの鐘や秋寂し
気がつけば虫の音の中に住んでをり
9/27
飲み会や皆と別れて秋の雨
秋深し若人の夢きいてをり
9/28
警報の出てをり秋の嵐かな
秋嵐警報も知らず籠りをり
ひたすらに物書いてをり秋嵐
遥かなる城跡想ふ秋の雨
広辞林埃を払ふ夜長かな
嵐去り虫高らかによみがへる
鈴虫のさへわたりをり雨上がり
嵐去り千匹の虫よみがへる
鈴虫とこおろぎ競ふ雨上がり
虫しぐれ割りて「浜辺の歌」流れ
虫の音を割り暮れ六つの鐘響く
9/29
裏庭にこおろぎ独唱あさまだき
幼子の追いかけっこや秋の午後
秋の夜やすすり泣く客居合わせて
9/30
しらぬ人の繰り言聞かされ秋の朝
長雨や締め切り迫り心急く
眠い目をこすり物書く夜長かな
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