紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

雲巌寺 石碑

 

「  当国雲岸(岩)寺のおくに、佛頂和尚山居跡有。
- たて横の五尺にたらぬ草の庵 むすぶもくやし 雨なかりせば -
と、松の炭して岩に書付侍りと、いつぞや聞え給ふ。其跡みんと雲岸寺に杖を曳ば、人々すゝむで共にいざなひ、若き人おほく道のほど打さはぎて、おぼえず彼麓に到る。山はおくあるけしきにて、谷道遙に、松杉黒く苔したゞりて、卯月の天今猶寒し。十景尽る所、橋をわたつて山門に入。さて、かの跡はいづくのほどにやと、後の山によぢのぼれば、石上(せきじょう)の小庵岩窟にむすびかけたり。妙禅師の死関、法雲法師の石室(せきしつ)をみるがごとし。
- 木啄も庵はやぶらず夏木立 - と、とりあえぬ一句を柱に残侍し。

        松尾芭蕉
         『おくのほそ道』より 」