9/20
公園で歌ふ人聴く人十六夜や
開場を待つ間チキン月見食べ
チキンチーズ月見食べつつ芝居待つ
9/19
中秋や夢まで飲み込む姫子鯛
レッスンを終え名月の町に出る
名月や横断歩道を駆け渡り
名月を独り占めする歩道橋
暫くは名月と伴に帰る道
9/18
秋晴れや登校の子ら声高く
秋晴れや飛行機雲の伸びていく
9/17
まだ開く前淡き色彼岸花
秋晴れや嵐の後の掃き掃除
母の剥く梨食べながら談笑す
9/16
台風や誕生日の母と過ごしをり
台風やイケメン予報士拝顔し
野分き過ぎ薄紅の筋の雲
野分き過ぎ茜の雲の広がりて
9/15
ピカピカのダンディな奴新サンマ
ギラギラの日差し台風近づけり
9/14
久々の劇団稽古秋の午後
秋の夕稽古帰りの談笑や
稽古終みんなと別れ虫の駅
秋鯖でぐぐっと一杯稽古後
稽古終へ祭り太鼓の響く街
9/13
まったりと秋の港の出船かな
飼ひ主と犬とよく似る秋の夕
鈴懸の匂ひ学府の懐かしく
赤と黒よく見かける日秋めきて
劇場を訪ね鈴虫に迎へられ
芝居跳ね鈴虫の街へと帰り行く
歩む毎鈴虫の声いや増して
9/12
コオロギのソロを聞きつつ電車待つ
長夜から目覚めケットが掛けられて
秋団扇ハタハタと鳴り電車待つ
秋日傘突き抜けて陽射し襲ひ来る
赤とんぼ羽光らせて乱れ飛ぶ
ブロックの隙間の草も秋色に
ゆっくりと黒猫横切る秋日差し
三日月に届かんばかり帰り道
9/11
とりどりのリュックが歩く秋の午後
長月の歌稽古はやクリスマス
さわさわと静かに語る秋の蝉
9/10
でらでらの暑さと終息雨上がり
鈴虫やカフェのカップル横目で見
虫時雨夕べの夢は幻燈夜
雨音に混じる虫の音しみじみと
9/9
踏みしだく秋草どうやら道違へ
道迷ひ嘲るようにつく法師
蜘蛛の巣に頭突っ込み葛の散る
秋野出て身嗜み正し靴を拭く
潮の香や桜えびの街秋の風
東海道歩き懐かし由比の秋
港にて美味き物食べ秋の風
秋風に吹かれゆったりバスを待つ
お買ひ得土産物買ひ秋の午後
秋風や来し方思ひバス待つ
秋風や今日の出来事反芻し
重陽や麗し歌声ライヴの夜
9/8
秋雨や東京五輪決定す
虫の声聞きつつ昔の録画見る
シャワー止め鈴虫の音に聞き惚れる
9/7
下町の緑のカーテン初秋や
下町の植栽の風情初秋や
とりどりの案山子が並ぶ寺の町
妖精に逢ひ落語で笑ふ秋のオフ
妖精踊り落語沸く初秋かな
秋風や谷中銀座の賑わひて
じっくりと落語で笑ふ夜長かな
9/6
気だるさを背負ひ引き摺りつく法師
一日の疲れ引き摺りつく法師
一山が我を出迎へ秋の蝉
きっぱりとアメリカ芙蓉の咲く陽射し
9/5
水溜まり映る景色や天高し
脇草の皆ゐ寝てをり野分き過ぐ
落雷や停電で開店危ぶまれ
秋雨の上がり乙女の笑顔かな
無花果やほろり昔を思い出す
遠雷やレッスン帰りの足重く
稽古後の遠稲光や足重し
鈴虫の甲高くまた低くなり
9/4
秋日傘差したり閉じたり晴れ曇り
新学期朝顔の鉢往来す
制服の群れ降りてくる新学期
魚屋の生け簀ひしめき合ふ九月
9/3
秋日傘フェンスに囲まれ露地を行く
早咲きの赤コスモスの燃える朝
秋日傘ばったり出会ひ立ち話
陽射し強しとろろ葵咲くきっぱりと
ことの外残暑厳しくげんなりと
9/2
秋日傘差して朝から銀行へ
ゴミ出しで朝の挨拶つく法師
9/1
閉めきった窓開け九月の風入れる
朝刊を取る虫の声につく法師
収穫を待つ向日葵の如雨露かな
アメリカ人ばかりの車両秋の午後
8/31
夏草や駅の軌道に線路なく
旅果てる来年も緑に会ひに行く
夏果てるスパで身心リラックス
8/30
日と風と戦ふ残暑の日傘かな
ニッパチのジンクスそのまま残暑かな
電車遅延うんざりとする
白き姫残暑の午後の幻か
ジリジリと鳴く声つんざきつく法師
8/29
夏逝きぬ帰路は束の間二人旅
乗り換へのごとに冷房差がありて
冷房車トイレの有無は最重要
夏草にそろそろ薄の穂が混じり
晩夏の旅締めは会津の蕎麦きりり
炎天下グリーンの扉くぐり抜け
緑陰に抱かれひとり旅果てる
一人旅折り返しの窓深緑
夏草を追ひ包まれてひとり旅
逝く夏や各駅停車で乗り継いで
ひとり旅思ひ出は一生夏逝きぬ
逝く夏や最後の乗り換え安堵する
夏草を訪ね包まれひとり旅
8/28
点々と青田に白く鷺の飛ぶ
シャッターも心も裂ける残暑かな
復興の川辺に輝く萬画館
逝く夏や復興のシンボル萬画館
シャッター裂け電線歪む残暑かな
残暑の中復興のため動く町
夏草が瓦礫を隠す川辺かな
逝く夏や復興の町を守る者
震災を乗り越えた松に風涼し
涼風を受けて松島湾巡り
涼風や芭蕉と同じ島巡る
松島や松渡る風夏果てる
松島や涼風松を渡り行く
夏牡蛎を食して松島船に乗る
涼風と波しぶき受け松島や
松島や奇岩に松風夏が逝く
松島や波除地蔵も涼風に
次々と島過ぎ行きて夏果つる
松島や涼風と共に島過ぎる
松島や涼風と島と過ぎゆけり
松島や涼風受けて島過ぎる
8/27
逝く夏やバスに振られて迷ひ道
若々しき芭蕉に出会ふ晩夏かな
大木に宿り蝉鳴く釈迦堂川
幸吉の墓に手合はせつく法師
崩れ落ち墓塁々と揚羽飛ぶ
夏銀杏見上げ芭蕉もかくとかや
涼風や芭蕉所縁の十念寺
幸吉とシロに参りてつく法師
逝く夏や旅はアドリブ哀と楽
喜怒哀楽旅はアドリブ夏が逝く
青々と銀杏見上げて芭蕉もや
光と影名誉と責任思ふ夏
逝く夏やダブル円谷光と影
お疲れの芭蕉翁松の緑陰に
荷受け出し暑かったでせう労われ
夏空やあれは安達太良夫婦言ふ
夏空やあれは安達太良夫唱婦随
逝く夏や本当の空に会ひに来る
牛タンの焼ける匂ひよ夏が逝く
8/26
停車駅扉の外は蝉の国
皆無言蝉の声だけ響く駅
夏の田のどこまで続く平野かな
逝く夏の旅みちのくに降り立ちぬ
8/25
逝く夏や平和祈念し歌ふ夜
負けないで二十四時間走る人
晩酌の伴はモロヘイヤの浸し
8/24
駅前で踊る子どもら夏が逝く
逝く夏や駅前で踊る子どもたち
逝く夏や紅白の壇上踊る子ら
冷房の効きすぎた小屋芝居跳ね
公演の精算反省夏が逝く
夏野菜天婦羅分け合ふ反省会
逝く夏や一週間後の打ち上げす
逝く夏や精算も終り乾杯す
精算も終って乾杯夏が逝く
8/23
逝く夏や電車で聴くは次の舞台
逝く夏や競演紅と赤女王
夏の夜の夢もうひとつのあの国へ
乗り換えの駅虫の音に包まれて
8/22
お昼寝の夢はやっぱりあのパーティー
蝉時雨に負けずに歌の稽古する
お昼寝の夢から我を呼び返す
赤ちゃんもママとダンスの残暑かな
オールフリー飲みつつ虫の声を聞く
8/21
舞台終へ衣装など荷を待つ晩夏
舞台終へ思ひ出を描く残暑かな
枕持ち寝場所を探す残暑かな
8/20
朝からの暑さそれでも風は秋
気の遠くなる青い空残暑かな
気の遠くなる青い空蝉時雨
アパートの窓窓簾が並ぶ景
盆明けの通勤電車まだ空いて
盆明けや半身夢に置き去りに
盆明けやまだ半分ワンダーランド
盆明けの鈍る心を叱咤する
舞台終へいつの間にやらつく法師
舞台終へ帰る巷は虫の声
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