平成十七年十二月十九日指定
小堂の中に高さ七十センチメートルの坐像の石地蔵があり、長峰の子持ち地蔵として親しまれている。
安永八年(一七七九年)親地蔵の台座には、『奉納大乗妙典六十六部日本廻国』とあり、『惣社一宮国分寺』と刻まれているのは珍しいものである。
この堂の前に二基の塔碑があり、右は寛政二年(一七九〇年)造立の観世音菩薩。
もう一方は、道標を兼ねた高さ八十五センチメートル程の巡礼塔で、『奉納 四国 秩父 西国 板東 為二世安楽』という字が刻印されている。左側には千時明和元申年(一七六四年)三月吉日 左てらかこうち観音とある。
巡礼者は現世の平穏無事を更に村里の山上から子孫の繁栄を眺め、祭りには祖霊を温かく迎えられる『二世安楽』を祈ったのであろう。
願主には斎藤彦左衛門、斎藤権平の両名で、当時は財力がないと参詣もままならず、当地域では有力者であったろうと思われる。
惣社・・・参拝の便宜のため数社の祭神を一箇所に総合して勧進した神社の称。一国の惣社のほか、寺院・荘園の惣社などがある。また、鎮守や一宮が惣社を兼ねた事もある。
塩谷町大字船生二四八八番地一
五十嵐シヅ子氏 所有