紗蘭広夢の俳句と街道歩き旅

二度目の東海道五十三次歩きと二度目の中山道六十九次歩きのブログを書いています。今、中断していますが、俳句も書いています。

馬籠宿 歌の好きな石臼

f:id:asiandream0804:20210110165053j:plain

案内板
「 歌の好きな石臼 藤村童話『ふるさと』より

石臼くらゐ唄の好きなものは有りません。石臼くらゐ、又、居眠りの好きなものも有りません。
冬の夜長に、粉挽き唄の一つも歌ってやって御覧なさい。唄の好きな石臼は夢中になって、いくら挽いても草臥れるといふことを知りません。ごろヽヽごろヽヽ石臼が言ふのは、あれは好い心持だからです。もっともっと、と歌を催促して居るのです。
そのかはり、すこしでも手でもゆるめてやって御覧なさい。居眠りの好きな石臼は何時の間にか動かなくなって居ます。そして何時までゞも居眠りをして居ます。
父さんのお家の石臼は、青豆を挽くのが自慢でした。それを黄粉にして、家中のものにご馳走するのが自慢でした。山家(やまが)育ちの石臼は、爐邊(いろり)で夜業(よなべ)をするのが好きで、皹(ひび)や『あかぎれ』の切れた手も厭はずに働くものゝ好いお友達でした。 」