1/17
雪溶けて寒の草花顔を出す
1/16
店の灯や溶け残る雪やや黒く
店の灯や積まれた雪のやや黒く
1/15
雪溶けて屋根の上から見え始め
雪少しずつ溶け椿微笑みて
空晴れて屋根屋根の雪まだ白し
雪落ちて紅き椿の背を伸ばす
残る雪溶けて屋根屋根顔を出す
どっさりと地響き屋根の雪落ちる
1/14
牡丹雪みるみるみるみる積もり行く
寒椿白き帽子を被りけり
紅をさし綿帽子被る寒椿
綿帽子被り紅さし寒椿
綿帽子頬紅く染め寒椿
積もる雪慣れずそろりと歩く人
雪積もり車のワイパー上げておく
ベランダに三寸積もる牡丹雪
牡丹雪掻いたところが滑りけり
ベビーカー轍を辿る積もる雪
雪の日やシグナル赤く明滅す
籠城の買ひ出しに出る雪の中
雪の街車のチェーン響く道
1/13
冬晴れや赤煉瓦の駅蘇る
暖房の部屋さへ寒し病の日
1/12
寒中やきりっと髪を短くし
冬晴れやひと駅歩き買ひ物へ
先取りの菜の花のサラダ買ひ求め
寒中や喫煙の客テラス席
帰り来て落ち着くまでの寒き部屋
教会の凍てつくような夕の鐘
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歯応へのしゃっきり寒の京野菜
日を浴びて寒のパンジー笑みかける
観劇の熱気のままに寒の街
餅はなく鏡開きに汁粉食ふ
1/10
カリカリのトースト甘し寒の朝
ゴミ出しを終へ安堵する寒の朝
寒中や日の当たる部屋でミシン踏む
寒中や瞬き始める蛍光灯
1/9
寒椿満面の笑みで迎へられ
寒中の夕日優しくほの赤く
1/8
松明けの休暇鈍行旅に出る
松明けの今朝はやっと日の出見る
新春の海朱に染め日の出づる
赤鳥居白富士近く寄り添ひて
新春の鳩つひばみて歩く宮
霜降りて参道白し浅間社
湧玉の池冬も冷たからぬ水
遠ざかる白富士朱の鳥居立ち
朝日受け冬の薄の原光る
新春やイヒヒと笑ふ旅の人
単線のすれ違ひ待つ冬の旅
乗り合はす客のしわぶきローカル線
車内保温ボタンで開閉ローカル線
新春や白煙まっすぐ昇り行く
電車旅白き峰峰現れる
乗り換えの電車の遅延駅寒し
何の花見れば林檎の実の袋
冬晴れやとりどり布団干し並び
冬晴れや今日旅に来てよかったと
頭だけ出して白菜並ぶ畠
冬の日の斜めに射して本眩し
1/7
今日は松外す日や下弦月
七草の粥の日サラダも売ってをり
手にするは少なく七草は重く
1/6
銀ブラの毛皮のご婦人松の内
日本橋見物多く松の内
日本橋鳩が飛び来る松の内
正月や鳩に絡まれ日本橋
正月や曇り空の下日本橋
福袋持つ人も行く日本橋
1/5
友の舞台遠くへ観に行く年始め
新春や夕暮れに消える小田急線
新春や夕暮れを行く小田急線
年越しのワイン飲み干す五日かな
新春やワイングラスの赤光る
赤ワイン一本空ける松の内
1/4
初仕事終へ世間みな初詣
初詣客皆降りて車内空く
人もなく幣だけ白く四日かな
詣る人なく幣白く四日かな
初マックカフェラテ持って三階へ
三階の閑散として初マック
1/3
初夢や南瓜の種抜き売っている
新春やサーファー波に立ち上がる
新春や波立ち上がり寄せてくる
新春の波見ている内寄せてくる
新春や波打ち際に仔犬じゃれ
新春やジョギングの人は波避ける
立ち上がる波寄せる波三日かな
正月や江ノ島消えて雲垂れる
新春やたたずむ足に波寄せる
詣で客三々五々の三日かな
1/2
地の物の朝食美味し二日かな
宿を発ち駅への山道小雪舞ふ
山見えず旅から帰る二日かな
旅の帰路始発に飛び乗る二日かな
今日は富士見えず雲見る二日かな
効きすぎる車内暖房旅帰り
旅の味とりもつ弁当二日かな
以前住む山々を見る冬の旅
新春の旅駅弁を食べ終える
1/1
白味噌に角餅雑煮旅の宿
テレビつけ朝飯前に初笑ひ
数の子といくらをトレードおついたち
甲斐駒に朝の挨拶元日や
元日や甲斐駒ヶ岳にご挨拶
元旦や甲斐駒ヶ岳に会釈する
残る雪踏みながら行く初詣
初詣終えログハウスでランチする
白樺の道抜け山の初詣
赤松の道抜け山の初詣
ゆず絵馬もある神社にて初詣
初詣奉納されるゆずの絵馬
高原野菜たっぷりランチ元日や
元日やランチはたっぷり山の幸
白樺と雪山見上げ初詣
白樺と甲斐駒見上げ初詣
元日のご馳走地物のたっぷりと
なにもかもとにかく蓋をし大晦日
何もかも蓋をしとにかく大晦日
荷を作り娘と年越しの旅に出る
小雪降る高原の町で年を越す
ご馳走と美味きワインで年を越す
1230
年末や一夜飾りを避け飾る
舞台衣裳ミシン終らず年を越す
デパ地下の人混みかき分け年の暮れ
1229
年末や買ひ出しの母の荷物持つ
大掃除の真似事ゴミの袋積む
丁寧に道を掃く母年の暮れ
年末や諸事後回しでミシン踏む
1228
年末も走り続ける選手かな
椿咲く下に大きな荷物置く
1227
何もせぬ庭も年末綺麗にし
散るのならせめてあなたに落ち椿
散るのならあなたの胸に落ち椿
1226
快晴の下年末の時は過ぐ
椿咲く幾重にもまた奥に咲く
1225
子のためにケーキを探すクリスマス
どこまでも快晴の空クリスマス
1224
グローリア響くゴスペルクリスマス
クリスマスイブに夜釣りの人ひとり
クリスマスイブは仕事でチキン売る
クリスマスイブにはやはりチキン買ふ
自分への褒美毛糸の帽子買ふ
電飾の船クリスマスの湾に入る
電飾の船港に入る聖夜かな
子ら歌ふイベント広場聖夜かな
駅前に今年もキャロルの響くイブ
高らかに老若聖夜の歌歌ふ
踏切を待つ人チキンを持つ聖夜
1223
老世帯母はお節を予約しに
微笑みのおことば天皇誕生日
1222
甘栗を売る声氷雨の中華街
氷雨突き行きつけの店へ中華街
1221
起きてすぐ玄関掃除冬至かな
柚子南瓜素通りをする冬至かな
朝の日をゆったり眺める冬至かな
1220
凍てる気を突きて早朝出勤す
冬晴れや意気消沈の目に眩し
一番の寒さ毎日更新し