碑文
「市旧跡 仙川一里塚跡
所在 調布市仙川町三-二
指定 昭和四十六年二月十日
この地は、仙川一里塚の跡である。江戸日本橋を起点にして、五里(約二〇キロメートル)の距離にあり、甲州街道 と三鷹街道 の交差点にあたる。この塚は、徳川家康が天下を平定してから主要街道に一里塚 の制度ができ、慶長七年(一六〇二)江戸・甲府間に甲州街道が完成した後に築かれたものである。
一里塚は、街道を行く旅人が、正確な里程を知る目じるしとして築かれた。塚は、普通五間(九メートル)四方、高さ一丈(三メートル)の規模で、エノキが植えられたが、地方によってはマツやケヤキを植えたところもある。エノキの実は甘く、若芽も食べられることから、旅人にとっては空腹をいやしたり木陰のもとで疲れをとる場所でもあった。
この手前の一里塚は上北沢で、次が小島一里塚となる。現在、昔のおもかげは全くみられないが、土地の人は今でもこのあたりを塚とよんでおり、地名に当時の名残りをとどめている。