往時この地方は比叡山三千坊に数えられた
数多くの巨刹(さつ)があり、その中に天台系嘉祥寺に安置され元亀の兵火をまぬがれたのがこの地蔵菩薩像である。極彩色等身大にして蓮台に腰をかけ左目手を繋ぐ垂下し右足を曲げて左膝に置き左目に薬玉をみぎてに錫杖を持ち材は桧と思われる。眉間に水晶製白毫(びゃくごう)をはめ、目は彫眼で表し、まるがおでふくよかな顔つきや丸みのある体躯、彫りの浅い衣文など平安時代末期(十二世紀)の造像と考えられる。秘仏となっているが安産祈願の子安地蔵として近隣の信仰篤く、毎年一月、八月の縁日には開扉(かいひ)される。
野洲町観光協会 」